家父長制実家&ネットワーク型実家 夫婦で感じたコミュニケーションの違い
こんにちは。くりぃむです。
結婚についてパートナーや親と話し合う時、「何でこんなに話が嚙み合わないの?」と感じることがありませんか?
私自身もそんな経験があります。いつもは普通に会話しているのに、結婚や姓選択の話になると、なぜか全く話が噛み合わなくなってしまいました。
いろいろと話し合うなかで、「家父長制家族」と「ネットワーク型家族」の違いが噛み合わなさの根本にあるとわかりました。
今回は、私が感じた両者の違いを、コミュニケーションスタイルに注目して挙げていきます。あくまで私たち夫婦の例ですが、参考になればうれしいです。
家父長制家族とネットワーク型家族
そもそも「家父長制家族」と「ネットワーク型家族」とはどのようなものでしょうか。
※「家父長制」に対応する良い言葉が見つからなかったので、仮に「ネットワーク型」としておきます。良い表現ないかな…。
★夫実家のイメージ
・家父長制家族
・父親のトップダウン
・それぞれが性別・年齢で決められた「役割」に従って動く
(父=稼ぐ・決める 母=家事育児・夫を支える など)
・会社でいう「ピラミッド型組織」
☆妻実家のイメージ
・ジェンダーフリー&年功序列フリー家族
・それぞれが自分の人生の責任者
・各々の能力を生かしてお互いに助け合う
・会社でいう「ネットワーク型組織」
コミュニケーションにおいて、前者は「黙々と役割をこなす」、後者は「なんでも話し合って決める」が基本です。お互いがどんな価値観の中で育ったかわかれば、話し合うヒントになるかもしれません。
ちなみに、私は珍しい名字に愛着があって妻氏婚を希望していました。しかし、夫の両親は大反対。両家の親も交えて1年半話し合い、両方の希望を尊重して事実婚しました。今回のブログは、その時の経験をもとに書いていきます。
コミュニケーションスタイルの違い
では、家族の違いは、コミュニケーションスタイルにどのような差を生み出しているのでしょうか。例として、夫実家(★)私実家(☆)の違いを挙げていきます。
1.「察する」か「言葉にする」か
★「察する」
家父長制である夫実家では、「察する/察してもらう」のが基本スタイルです。父(夫)、母(妻)、男子、女子という役割に従うことが良しとされます。重要なことは父親が決めるので、意見をすり合わせる必要はあまりありません。
また、ふだん空気感でコミュニケーションをしている分、「言葉にする=決定的で覆せない」というイメージがあるようです。
(例)「父親が嫌と言ったから〇〇は無理。」
(例)「言葉にするとけんかになるから、話し合いはできない。」
一方で、雰囲気を察する力は磨かれていて、実際に会うことで感じ取ってもらえることは多かったです。(特に義母)
☆「言葉にする」
私の実家では、「自分の考えは言葉で伝える」というスタンスです。決まりきった役割がなく、家族の関係はコミュニケーションの積み重ねで築かれています。いつも意見交換しているので、言葉そのものはそこまで重たくありません。「今はこう考えている」というくらいの感じです。
(例)「父親は〇〇だと言っている。自分は××だと思う。あなたは?」
(例)「伝え合わないと状況が整理できないので何も決められない。」
2.「家の意見」か「本人の意見」か
★「家の意見」を話す
トップの決定を忠実に実行する組織が家父長制です。そのため、家長の意見と自分の意思の区別があまりありません。
たとえば、夫が話す言葉には主語がなく、義父/義母/夫、だれの意見を話しているのかがよくわかりませんでした。別のものだという感覚があまりなかったようです。
また、義母は妻氏婚に賛成だと聞いていました。しかし、義父が反対だとわかったとたん、最初から反対だったかのような態度で猛反対したのです。そこに「家長が反対だから」以外の理由はなく、「なぜそう思うんですか?」と追及しても本人を苦しめるだけのようです。
パートナーに対しては、新しい家庭を築くのだから自分の言葉で考えて欲しい、と伝えればよいと思います。それ以外の人々を説得したいのであれば、家長の意見を変える必要があります。
☆「本人の意見」を話す
各自で考えて各自で行動しているので、当然、夫婦や親子で意見が違うこともあります。その場合は、周りの意見も考慮したうえで本人が判断します。
「家のこと=父親が決めたこと」という夫実家にとっては、私自身が妻氏婚を希望しているということが驚きだったようです。相手の感覚に合わせるのもアリですが、私の場合は「最終的に本人が判断します」とはっきり示す方が上手くいきました。
3.「結論がすべて」か「理由が大事」か
★結論を重視する
「父親」「伝統」など、従うべき基準がはっきりしています。そのため、話し合いの過程や理由よりも、「従うのか従わないのか」が問題になってきます。権威に従った結論なら〇、そうでないなら×という感じです。
(例)「話し合ったとしても、結局どちらかに決めることになる。」
(だったら伝統的に夫家に従うべき)(例)「こちらの主張が通らないと納得できない。」
☆理由を重視する
決まりきった基準はなく、お互いが納得するかどうかが重要です。自分と相手の意見をすり合わせるため、理由や話し合う過程そのものを大切にします。
話し合わなければ結論は出せない、という考え方でもあります。
(例)「どちらになるとしても、話し合ってお互い納得することが大事」
(例)「自分の主張が100%通るとは思わないが、~~という理由は納得できない」
私たちの場合、
夫「夫氏婚にするために話し合うの?それとも妻氏婚にするため?」
私「?????どうするか決めるために話し合うんだが…???」
というやりとりがありました。「話し合い」に対する考え方がそもそも食い違っている良い例だと思います。
4.「普通は〇〇」か「自分は〇〇」か
★権威を借りて話す
役割を超えて自己主張することがあまり良しとされません。そのため、世間や伝統などの権威を借りて意見を通そうとします。一般にその通りの場合もありますし、そうではない場合もあります。
(例)「普通は〇〇する」「昔からみんな〇〇してきた」
☆自分の判断を話す
何事も人それぞれ、ケースバイケースだと考えるので、「普通は〇〇」だけでは納得できません。常識を無視するというわけではなく、周りのことも考えて、自分の責任で判断するという意味です。ですが、「私はこう思う」が相手には「わがまま」「はみ出し者」と捉えられてしまうのが難しかったです。
5.「役割を果たす」か「関係を作る」か
★仲良くする=「良い〇〇」を演じる
役割によって、「良い夫婦はこうあるべき」のようなはっきりした理想像があります。理想通りの役割を全力で果たすことが”良い関係”である、という考え方です。
☆仲良くする=「良い関係」を模索する
仲良くなれるかどうかはお互いの努力次第だと考えます。親が毒親なら距離を置くべきだし、自分がひどいことをすれば、相手が家族でも嫌われてしまうでしょう。良い関係になるには距離感を模索し、仲良くしたい意思を相手に示す必要があります。
たとえば、夫実家を訪問した際、義母から次のようなことを言われました。
「よその家(私実家)の事情に振り回されるのは迷惑」
「これから家族として仲良くしていきましょうね」
言っていることが真逆でかなり戸惑いました。(よそ者扱いなのに家族として仲良くしたいとは…?)ですが、それは私が「仲良くできるかはお互いの態度次第」と考えているから起きる戸惑いです。
一方、義母は役割を守って生きています。「良き妻」として義父の意見を後押しし、「良き姑」として嫁を歓迎したので、矛盾はないのです。(当然、私にも義両親を慕う「良き嫁」を求めていることになります。)
結婚するとなると、二人の関係や役割はこれから作られることになります。異なる意見をすり合わせることになるので、いったんこれまでの枠組みから出て、パートナーとしっかり話し合うのが一番良いということになりますね。
最後に
いかがでしたか?両者のスタイルは真逆ですが、私も夫も自覚がなく、”みんなと同じだろう”と思っていました。結婚について話し合い、ようやく違いに気付くことができたのです。
価値観が違うからといって、無理に相手側に合わせる必要はありません。ですが、お互いのスタイルを理解したうえで、2人にとってはどんな形が最善かを考えていく必要があります。自分やパートナーはどちらの価値観で育ったのか、結婚後はどういう家族運営をしたいのか、ぜひ一度考えてみてください。